うまい牛丼を極める・提供するための店舗でのこだわり 店舗で作りたての牛丼を提供

各店舗では毎日、大きな肉鍋で牛肉を生肉の状態から玉ねぎと秘伝のたれで煮込み、絶えず牛肉・玉ねぎ・たれの状態を管理しながら、いつでも最高の牛丼を提供できるようにしています。米も日々、店内で炊き上げています。店内調理にこだわるのは、牛丼は生き物であり、肉鍋の煮込み方や米の炊き方一つで味が変わるからです。

うまい牛丼の具をつくるためには、はじめに肉鍋でたくさんの牛肉を煮込むことが大切です。吉野家ではこの調理工程を「煮肉」と呼び、時間ごとに販売される牛丼の販売数を予測しながら一定量の新しい牛肉と玉ねぎを鍋に入れ、牛肉のうま味を逃がさないよう、牛肉を煮込む際に、大火力で一気に鍋を熱してから最適な温度に調整しています。熱すぎてもぬるくても味を損ねてしまうので、うまい牛丼をつくるための温度管理は欠かせません。常に細心の注意を払って火加減を調整しつつ、こまめな脂抜きをしながら煮込んでいきます。肉を絶やさない肉鍋と、最適な温度調整により、鍋の中を“一番うまい状態”に保つことができるのです。

また、丼によそった米に肉鍋から牛丼の具を盛り付ける「肉盛」の工程にも吉野家独自の技があります。吉野家特製のおたまで、ご飯の上に肉と玉ねぎ、たれを美しく均等に盛りつけるには、決め・合わせ・返しと抜きと呼んでいる一連の動作を習得する必要があります。

店舗における「煮肉」と「肉盛」の技術継承と切磋琢磨が日々店内で行われているのは吉野家ならではの文化です。また、吉野家ではうまい追求する中で独自の調理器具を編み出し、これらの独自器具が今も店舗で使われています。


牛丼の具を煮込む特製「肉鍋」

牛丼の具を煮込む鉄製の肉鍋は吉野家オリジナルの調理器具です。肉鍋は手前が盛付、奥側が煮込みと2層に仕切られています。この大きな鍋の対流を利用して、煮ながら盛り付けます。


四十七の瞳「おたま」

一杯の牛丼を盛り付けるときに、牛肉と玉ねぎだけでなく、ご飯にうまさが満遍なく染みわたったたれを味わっていただくためにはおたまにいくつどのように穴が開いていると良いのか試行錯誤を繰り返して、穴の数は47が最適な数値であることに辿り着きました。穴の大きさは外側と内側で大きさが異なります。外側の穴は丼の外周のご飯に適度がかかるように大きく間隔が広く、内側の穴が丼の中央のご飯に一気にたれが落ちすぎないように穴は小さくしつつ間隔は狭くなっています。

四十七の瞳「おたま」

有田焼の「丼」

創業当時より、おいしい食事を彩るために有田焼の食器にこだわり、以前は緑色に蓋付きの有田焼を使用していました。普段、丼メニューに蓋は使わずに提供していたが、時折、市場が終わったお昼頃になると酒のつまみに牛丼の具だけ提供してほしいという要望を受け、牛丼の具をこの蓋を裏返してお皿に見立て、提供していたのが現在の牛皿の原型です。

その後、店舗拡大とともに現在の蓋なしの丼に変わり、小盛丼、並盛丼、大盛丼、特盛丼の4種類のサイズがあり、大盛丼は大盛とアタマの大盛、特盛丼は特盛と超特盛を盛り付ける際に使用します。4種類のうち、唯一、特盛丼のみ絵柄が異なります。

有田焼の「丼」