吉野家の「朝食」と
幸せ・健康

ハムエッグ牛小鉢定食

創業124年となる牛丼チェーンの株式会社吉野家、東北大学100%出資のコンサルティング 会社 東北大学ナレッジキャスト株式会社、および東北大学と日立ハイテクによる脳科学カンパニー 株式会社NeU(ニュー)は共同で、20代から60代の働く人1,000人を対象に「朝食習慣と幸せ度・ライフスタイルに関する調査」を行いました。

調査のポイント

  1. 朝食頻度が高い人ほど「幸せ度」が高く、「幸せ度」が高いほど「ポジティブな意識」が強い傾向が2010年調査と同様に見られました。
  2. 一方、スマホの使用時間が多い人ほど、朝食頻度が低く、「幸せ度」が低い傾向が見られました。
  3. コロナ禍による外出制限の影響で、どの年齢層も男女とも「外食に出かける頻度」「一週 間当たりの外出回数」を増やしたい意向が強いことが明らかになりました。
  4. 「幸せ度」の判断時に重視する基準は、2010年調査では「仕事の充実度」が一番でしたが、今回は「余暇や趣味の充実度」や「食事をしているとき」を重視する傾向が見られました。

※本調査の詳細はプレスリリースよりご確認いただけます。


監修者: NeU取締役CTO(東北大学ナレッジキャスト取締役) 川島隆太博士のコメント

今回の調査で、朝食頻度が高いほど「幸せ度」が高く、「幸せ度」が高いほど「ポジティブな意識」が強い傾向が12年前の調査と同様に見られたことは想定内でしたが、ファクトとして確認できたことに大きな意義があると思います。

脳を午前中からフル稼動させ、仕事や勉強のパフォーマンスを高めるには、脳のエネルギー源となる、朝食が重要です。脳は炭水化物から作られるブドウ糖を栄養として働きますが、エネルギーが供給されないと働きません。朝食を食べなければ、午前中はボーッとして脳が働きません。

東北大学での研究で、主食が「パン」の人と比べて「米飯」の人の方が脳の灰白質の量が多い、つまり神経細胞の量が多いことがわかっています。神経細胞はパソコンで言えばCPU(中央演算処理装置)ですので、神経細胞の量が多いということは情報処理容量が多いということです。

パンよりも「米飯」の方が脳に良いもう一つの理由は、ブドウ糖を消費する速度を示すGI(グリセミックインデックス)値が影響を与えるからです。米飯は食パンなどに比べGI値が低く、ブドウ糖の代謝速度が遅いため、ゆっくりと代謝して糖を供給できるため、脳が午前中しっかり働けます。

ただし、脳を働かせるには、肉、魚、大豆製品、野菜など「おかず」から吸収する栄養も欠かせません。ブドウ糖が使われるには、ビタミンB1やクロム、リジン、アルファリポ酸などの補助栄養素が必要だからです。

一方、スマホの長時間利用によって、集中力が長く続かない、思考力が低下する「スイッチング」と呼ばれる弊害があることがわかっています*2。

また、コロナ禍で増えたオンライン会議では、会議参加者同士の脳に共感が起こらず、コミュニケーションの質が低下する弊害も明らかになっています。

これらの弊害を解決するには、なるべく外出機会を増やし、対面でのコミュニケーション機会を増やすことです。幸い本調査結果で、どの層にも「外食・外出頻度を増やしたい」意向が強いことが明らかになっていますので、企業側にもそうした機会をどんどん増やしていただくことが望まれます。

川島隆太博士プロフィール

プロフィール 東北大学加齢医学研究所所長。89年東北大学大学院医学系研究科修了。スウェーデン王国カロリンスカ研究所、東北大学加齢医学研究所助手、講師、教授。2014年より同研究所所長。脳機能イメージング研究の基礎研究を行いつつ、同技術を積極的に産学連携に応用。それらの成果により、総務大臣表彰、文部科学大臣表彰、井上春成賞、河北文化賞などを受賞。わが国の脳機能イメージング分野のパイオニア。脳機能開発研究の第一人者。世界的な脳トレブームの立役者。

※2川島隆太著「スマホが学力を破壊する」 (集英社新書)