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New Technology , New Value

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新たな価値の共創新たな価値の共創

吉野家・セコムトラストシステムズ・エクサウィザースが共同開発したAI機能搭載のシフト自動作成サービス「セコムかんたんシフトスケジュール」。2018年9月から埼玉営業部に導入し、2019年の全国展開に向け検証中だ。そこで、開発初期段階から店舗の代表として実験・検証に関わった、16号線東大宮店、統括店長の橋本道子さんに、このソフトの特徴・可能性について、話を聞いた。

いかにシフトをうまく組めるかが
安定した店舗運営に直結する

橋本さんは、10年間店長を務めていらしたそうですが、やはりシフト作りは大変でしたか?

シフトは大まかに、①予測入客、②店舗予算、③従業員の契約シフトと店長シフト、の3つを考慮して組んでいきます。
吉野家ではアルバイトやパートの方をキャストと呼びますが、採用段階で何曜日の何時から何時間働けるという契約を結びます。その契約に基づいてシフトを組むのですが、皆さん学校や家庭の都合があり、月ごとで働ける時間が変動しますので、どうしても埋まらない時間帯が出てきます。万が一、キャストを配置できなければ、お客様にご迷惑がかかってしまいます。そうならないように、キャストと交渉をしながらシフトを考えますが、学生さんのテスト期間や主婦の方のお子様のイベントと重なるとシフト作成に何時間もかかってしまうこともあります。
シフト制で動いている企業は、どこも苦労していると思いますが、吉野家は24時間365日営業を基本としていますから、シフトをどう組むかには頭を悩ませますが、それは安定した店舗運営に直結する重要なことです。

これまではシフト作成に
何時間もかかることもありました

吉野家_イメージ写真

橋本さんはどのように「セコムかんたんシフトスケジュール」の開発に関わったのでしょうか。

まずはソフトの開発担当者に、現場の代表として現状で困っていることや、どう改善したいかなどを、思いつく限りをお話ししました。
基本的なことでは、店舗毎にシフト提出フォーマットがバラバラで店長の異動の度に店舗が混乱するとか、店長によって調整能力に差があり、シフトの完成度が違うといった点です。また、外食のイメージ向上や、働き方改革に貢献できるものにしたいという想いも伝えました。
そこから、改善しなくてはいけない部分と残していかなくてはいけない部分を選別していきました。リアルな現場の声が反映されたことで、使い勝手のいいものになったと思います。

店長の経験値・想いを反映した
画期的なシフトサービスに

橋本さんはプロトタイプのテストから、実店舗での最初の実験・検証を行ったわけですが、使ってみてどうでしたか?

プロトタイプの段階で、キャストが提出した勤務希望日など必要事項を入力したら、希望の8割を満たす高精度のシフトができたのにはびっくりしました。また、不足する人員数・時間帯・従業員レベルなども表示されるので、不足点が一目瞭然なのです。ただ、足りていないのは「店長の想い」をシフトに反映させる機能でした。
ベテラン店長はその日のことだけを考えてシフトを作るわけではありません。1ヶ月先・半年先を見据え、キャストの育成計画をイメージしながらシフトを作ります。例えば、一般的な自動シフト作成ソフトだと、キャストの人数と従業員レベルがある程度満たされていればシフトは完成です。わざわざ新人キャストを組み込むということはしません。でも店長やベテランキャストと一緒に勤務すれば、新人キャストの教育を進めることができ、来月以降の選択肢を増やすことができるわけです。そこが店長の腕の見せ所でもあり、新人店長との差が出る部分です。この部分を開発担当者には強くお願いしました。
AIは進化していきますから、使っていくうちにベテラン店長の頭の中にある経験値や、どういう店舗にしていきたいかという想いを反映していけるのは画期的です。会社から新しい武器を与えてもらったという感じですね。

予想以上の精度の高さに
驚きました

吉野家_イメージ写真

シフト作りの労力が大幅に軽減され
サービスや従業員教育に時間が使えるように

「セコムかんたんシフトスケジュール」を使うことで、どんなメリットがあると思いますか?

まず、今までシフト作成にかかっていた時間を大幅に軽減できるので、店長がその時間を、お客様への対応や、キャストへの教育やコミュニケーションといった他のことに使えるのが一番のメリットでしょうか。
また、1~2年目の店長にとっては、ベテラン店長のノウハウが詰まったソフトでスケジュールを組めるのは、とても心強いと思います。私も店長になりたての時は、自分の組んだシフトで本当にうまくお店が運営できているか心配で、食事がてら店舗を見に行ったこともありました。
このソフトは、キャストが自身のスマホで希望する勤務時間を入力できるのと同時に、どの時間帯が埋まっていないかを見ることもできます。今までは「この日、入ってくれない?」と店長が一人ひとりにアクションを起こさなければいけなかったのが、「この日、私入れますよ」と、自発的にキャストから言ってもらえる可能性が高くなる。つまり一方通行から双方向のコミュニケーションが可能になりました。

新人店長にとって、とても心強い武器になりました

吉野家_イメージ写真

このツールを導入することで
余裕が生まれ、そして好循環が生まれる

このソフトを使うことで、最終的にどのようなことが期待できると思いますか?

極端に言えば、店長の仕事はシフトを組んだ時点で8割が終わりです。シフトを組むというのは、お客様に安定した味とサービスを提供する最適な人員配置をするということ。ランチタイムの最大客数に対応するための人員配置をどうするか。サービス・調理スキルを磨くための教育計画をどう盛り込むか。労働時間数は予算通りに組めているか。そういったさまざま要素を考慮して行います。吉野家では、それを稼働計画と言いますが、この計画をしっかり立てれば、あとはそれに沿って従業員教育を行いながら、計画とのズレに適宜対応していけばいいのです。
明日のシフトのことで思い悩むよりも、キャストの成長を見守り、お客様と会話する時間が増える方が、日々の勤務がより楽しくなるじゃないですか。そういう人との触れ合いや心の余裕が生まれれば、従業員やお客様への目配り・気配り・心配りがさらに行き届くようになって、好循環が生まれますよね。それは店長にとっても、キャストにとっても、会社にとってもいい結果に繋がるのではないでしょうか。

  • 橋本道子

    株式会社吉野家
    管理本部採用課長

    橋本道子

    2002年アルバイトとして入社後、2008年に正社員になり、10年間店長を務める。2018年8月には、16号線東大宮店(兼)17号線宮原・17号線与野の統括店長として、「セコムかんたんシフトスケジュール」の実験検証を行う。